相続の基礎知識

相続税とは?

人の死亡により、故人が残した遺産を民法で定められた法定相続人が継承することを「相続」といいます。
遺言によって法定相続人以外の人が財産を取得した場合は「遺贈」といいます。
相続した財産の金額、評価額に応じて課せられる税金が「相続税」です。
平成27年の相続税の改正により、基礎控除額や税率が引き下げられ、相続税の対象となる事案が増えています。

相続税の計算方式

(改正前) 基礎控除額・・・・5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

(改正後) 基礎控除額・・・・3,000万円+600万円×法定相続人の数

相続税は、原則として相続発生を知った翌日から10ヶ月以内に申告し納税しなければなりません。
複数の相続人がいて、資産分割の方法が決まらない場合でも申告・納付はしなければならないため、資産の評価、相続人の確認、分割方法の協議を速やかに行わなければなりません。

相続する財産と負債

遺産相続は、預貯金や土地などのプラスの財産だけでなく、借金や未納の税金などマイナスの財産も相続対象となります。

プラスの財産

  • 現金・預貯金
  • 自動車
  • 不動産(土地・建物)
  • 有価証券(株式会社・投資信託など)

マイナスの財産

  • 負債(借入金・買掛金など)
  • 税金(所得税・固定資産税・住民税・健康保険料など)
  • 保証債務(借入金の連帯保証・賃貸借の連帯保証)

相続放棄

相続放棄とは、被相続人の財産を放棄し、一切の財産を相続しないことをいいます。

民法939条により、「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」とあります。
相続する負債が資産を上回った場合は、この方法を取り、負債の相続を免れることができます(但し、資産の相続も出来ません。)。 第1順位の相続人が相続放棄を行った場合は、次順位の相続人に移ります。
もし、次順位の相続人が、資産の中に相続したいものが含まれているので、負債と一緒に相続したいとなれば、相続することができます。

※原則として、相続開始を知ってから3か月以内に、「相続放棄申述書」を家庭裁判所に提出する必要があります。

限定承認

限定承認とは、相続放棄とは違い、相続した財産の範囲内で負債を返す方法です。

プラスの財産よりマイナスの財産が明らかに多い場合には、相続放棄をすればよいのですが、どちらが多いかわからない場合、またその差がそれほど大きくない場合もあります。こうした場合に、相続したマイナスの財産を、相続したプラスの財産から弁済し、マイナスの財産が超過の場合は相続人固有の財産で弁済する責任はありません。
限定承認は、相続人全員で行わなければなりません。つまり、相続人のうち1人でも反対すれば、限定承認はできないので、相続放棄するのがよいでしょう。ただし、相続人の一部の人が相続放棄した場合には、その人は初めから相続人でなかったこと になるので、この場合は、その他の相続人全員で限定承認ができます。

※原則として、相続開始を知ってから3か月以内に、「限定承認供述書」を家庭裁判所に提出する必要があります。

相続順位について

民法で定められる法定相続人は、配偶者、直系の血族、兄弟姉妹です。
配偶者は常に相続人となり、父母・兄弟姉妹は、配偶者や被相続人の子など上順位の相続人がいない場合のみ相続人となります。

法定相続人の順位

第1順位

被相続人の配偶者・子ども
配偶者が死亡している場合は、子どもが全部を相続します。

第2順位

被相続人に子どもがいない場合は、配偶者と被相続人の父母
配偶者が死亡している場合は、父母が全部を相続します。

第3順位

子どもがいない被相続人で、父母も死亡している場合は、配偶者と被相続人の兄弟姉妹
配偶者が死亡している場合は、兄弟姉妹が全部を相続します。

法定相続分

民法で定める法定相続分は、次のとおりです 。

代襲相続人

本来の相続人が相続開始前に死亡した場合や、相続欠格(※1)・廃除(※2)によって相続権を失った場合、代わって相続人になった者を代襲相続人といいます。
また、代襲相続人も相続開始前に同様に相続権を失った場合は、代襲相続人の子が「再代襲相続人」として相続することになります。

※1 相続欠格

相続上の利益を得るために、殺害や詐欺、遺言書偽造などの違法行為をした法定相続人は、法律上、法定相続人の資格を失い、同時に受遺者としての権利も失うため遺贈を受けることもできません。
ただし、相続欠格者は代襲原因となるため、欠格者の子どもは代襲相続が可能です。

※2 相続廃除

被相続人への激しい虐待や重大な侮辱を与えるなど、相続させたくない著しい非行があった場合、被相続人の意思で相続権を取り消すことができます。
ただし、廃除された者の直系卑属(兄弟姉妹の場合は、その子)は代襲相続が可能となり、廃除された者も遺贈を受けることはできます。
相続廃除は、住所地の家庭裁判所へ申し立てを行い、調停・審判の手続きが必要となります。

その他の相続人

胎児

相続については既に生まれたものとされ、相続権が発生します。ただし、死産の場合は相続人にはなりません。
ただし、胎児のまま相続人になるわけではないため、胎児の母親が代理人として遺産分割協議に参加することはできません。

非嫡出子

正式な婚姻関係のない男女間に生まれた子どもで、父親の認知によって親子関係が認められた場合は非嫡出子だけが相続人になります。

養子

親子の血縁がなく、養子縁組によって親子となったものは、実子と全く同等の相続権を有します。
また、養子に行ったとしても実父母との親子関係が無くなるわけではないため、養子は実父母と養父母の両方から相続できることになります。

内縁関係

相続人となる配偶者は、婚姻届を出した正式な配偶者で、内縁関係の配偶者は相続人にはなれません。
ただし、相続人が誰もいない場合には、被相続人の財産を取得する場合があります。

再婚相手の連れ子

再婚した配偶者は相続人になりますが、その連れ子は被相続人と養子縁組をしていなければ相続人にはなれません。

離婚した元配偶者

相続権は、原則として相続発生時の戸籍によって決定されるため、音信不通の別居状態だったとしても、正式に離婚するまでは相続人になります。

相続でトラブルになる原因は?

① 不動産
  ⇒不動産は物理的にも、価値的(評価)にも簡単に分けることが出来ない。

② 特別受益
  ⇒典型的なものとしては生前贈与。例えば長男は、家を建てる時に、被相続人から○○円援助を受けていたなど。
   援助を受けた、受けていない、援助額の現在の評価額などで揉めることが多い。

③ 寄与分
  ⇒典型的なものとしてが介護。例えば、二男夫婦が父親(被相続人)の介護を10年間行ったなど。
   介護をどのように金銭的に評価するかなどでもめることが多い。

④ その他
  ⇒相続権がない人が相続人をけしかける(例えば、相続人の配偶者)、感情的な対立など。

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