相談事例集

2016.03.04更新

(相続人)
・相続人は子3人
・母親は既に他界しており、今般他界した父親に関する相続

(遺産)
・土地。土地上には、長男名義の建物があり、長男一家が居住している。
・金融資産あり。

 

遺産協議分割のポイント

・長男は建物を所有しているので、当然土地を相続したい。
・金融資産で調整できれば、比較的スムーズに協議がまとまる。
・長男が土地を取得することで、遺産全体の法定相続分相当額を超えてしまう場合(金融資産を他の相続人に全部渡しても、長男が取り過ぎになる場合)、長男が取り過ぎ分んを調整するためにお金(代償金)を保有していなければ、協議が難航する。

投稿者: シリウス法律事務所事務所

2013.07.02更新

<相談内容>
 私Aは、夫Bと連れ添って、35年が経ちました。

 ただ、私たち夫婦は、ある事情により婚姻届を提出しておらず、いわゆる内縁の夫婦です。また、私たち夫婦には子供はいません。

 夫Bはまじめに働き、夫B名義の自宅不動産や預貯金があります。

 私も、夫Bが10歳年上であることから、夫が先立った場合に上記の財産がどうなるか気になり始めました。

 内縁の妻である私Aには、内縁の夫Bの遺産について相続権はないのでしょうか。

<回答>
 まず、相続権についてですが、戸籍上の婚姻関係にない事実婚、すなわち、内縁関係には、相続権は認められていません。

 したがって、内縁の妻Aさんは、内縁の夫Bさんの遺産に関し、相続権はありません。

 そのため、内縁の妻Aさんが、内縁の夫Bさんの遺産を手にするためには、Bさんにあらかじめ遺言を作成しておいてもらう必要があります。
 仮に、Bさんが、遺産のすべてをAさんに遺贈する旨の遺言を作成したとしても、Bさんに相続人がいる場合は、遺留分に注意する必要があります。

 内縁の夫Bさんが遺言を作成することなく亡くなり、かつ、相続人がいない場合でも、内縁の妻Aさんは、遺産を手にできないのが原則ですが、例外的に、特別縁故者(民法952条)として、一定の手続を経ることで、遺産の全部または一部を受け取ることできる可能性があります。

 ちなみに、遺族年金における「相続人」には内縁の配偶者も含まれます。
 また、亡くなった方がお勤めで遺族に退職金が支払われる場合、勤務先によっては内縁の配偶者が受取人に含める旨退職基金規定で定めていることもありますので、よく調べてみてください。

☆☆☆☆☆☆☆

投稿者: シリウス法律事務所事務所

2013.06.25更新

<相談内容>
 私Aには、長男B、長女Cがいます。妻には、先立たれています。

 この度、遺言書を作成しようと思うのですが、これまでのいきさつから、長男Bには相続させたくありません。

 遺言書で、すべての財産を長女Cに相続させると記載しても、長男には遺留分があるので、実質的には長男の取り分を0にすることはできないと聞きました。

 他に方法はないのでしょうか。

<解決>
 このような場合、推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者)である長男Bを排除(相続人から除外すること)することが考えられます。
 
 

 推定相続人の排除には2つのやり方があります。

 一つは、生前排除です(民法892条)。

 推定相続人が、①被相続人に対して虐待をし、もしくは②重大な侮辱を加えたとき、または、③推定相続人にその他の著しい非行がある場合、被相続人は、生存中、推定相続人を排除することを家庭裁判所に請求することができます。

 もう一つは、遺言による排除です(民法893条)。

 推定相続人に上記①から③のいずれかに当たる事由がある場合、被相続人は、あらかじめ遺言において、当該推定相続人を排除する旨の意思表示をしておくことができます。もっとも、意思表示だけで、直ちに排除されるのではなく、被相続人の死亡後、遺言執行者が、家庭裁判所に対し、廃除を請求しなければなりません。

 また、いずれの方式の排除でも、注意点が二つあります。

 一つ目は、請求を受けた家庭裁判所は容易に排除を認めないということです。上記①から③の事由にあたるかを慎重に審理して廃除の可否を判断しますので、具体的な事実及びこれを裏付ける具体的な証拠が必要となります。

 もう一つは、推定相続人の廃除が認められても、代襲相続はありますので、例えば、排除された推定相続人に子がいる場合は、子が代襲相続します。

 したがって、相談者Aさんの場合も、長男Aの生前廃除や遺言による廃除をすることが考えられますが、上記の点に注意する必要があります。

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投稿者: シリウス法律事務所事務所

2013.04.30更新

<相談内容>
 会社経営者である私の父Aは、この度、亡くなりました。

 相続人は、母B、私(長男)C、次男D、長女Eの4人ですが、私が、会社の後継者として安定的に経営に携われるよう、父は、公正証書遺言を作成してくれていました。
 
 その遺言においては、具体的に列挙できなかった遺産については、「その余の財産は長男Cに相続させる。」旨の記載がありました。

 ところが、父Aが遺言を作成後、亡くなる前に、Aの父Fが亡くなり、唯一の相続人であった父Aが、Fの不動産や預金一切を単独相続していました。

 私は、父Aの遺言に「その余の財産は長男Cに相続させる。」旨の記載がある以上、父AがFから相続した不動産や預金も相続できると考えているのですが、問題ないでしょうか。

<解決>
 この場合、Cにとっては、Fの不動産や預金も相続できればいうことはありません。

 しかし、母B、次男D、長女Eにとっては、そのような結論は、不公平で、受け入れ難しいものとなるでしょう。

 具体的には、B、D、Eは、、「その余の財産は長男Cに相続させる。」というのは、父Aが遺言を作成した当時、父Aが保有していた財産を意味するもので、Aが遺言作成後に、Fから相続した不動産や預金は含まない、Fの不動産や預金は、別途、B、C、D、Eで遺産分割協議の対象とするべきであると主張する可能性があります。

 では、どちらの言い分が正しいのでしょうか。

 どちらが正しいかについては、一刀両断的に答えを出すのは難しいといわざるをえません。
 すなわち、双方が一歩も譲らなければ、結局、裁判でき決着をつけざるを得なくなります。

 そうならないようにするためには、遺言の文言を工夫する必要があります。

 例えば、「その余の財産は長男Cに相続させる。」に続けて、「その余の財産とは、本遺言書作成時に存在するものに限らず、本遺言書作成後に遺言者が取得したものすべてを含むのとする。」と書いておけば、長男Cが考えているようになるでしょう。

 一方、「その余の財産は長男Cに相続させる。」に続けて、「本遺言書作成後に、遺言者が取得した財産については、法定相続分に従って、妻B、長男C、次男D、長女Eに相続させる。」と書いておけば、妻B、次男D、長女Eが考えているようになるでしょう。

 もちろん、Aが遺言を作成した後に、新たな財産を取得した場合、その都度、遺言を書き換えることも考えられますが、公正証書遺言では、手数料もかかりますので、上記のように表現を工夫しておくことで、余計なトラブルを回避することもできます。

 このように遺言は、文言の違いによって、結果が大きく異なりますので、自分の考えを正しく遺すために、遺言作成にあたっては、弁護士に相談されることをお勧めします。

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投稿者: シリウス法律事務所事務所

2013.04.18更新

<相談内容>
 私には、妻と子供が2人いるのですが、家業を継がせるべく、長男に多くの遺産を残したいと考えています。

 知人に相談したところ、そうしたいのなら、自分で遺言を書けばよいと言われたのですが、どのようにすればよいでしょうか。

<解決>
 自分の手で作成する遺言のことを、自筆証書遺言(民法968条)といいます。

 自筆証書遺言の形式的要件は以下のとおりです(民法968条1項)。

① 遺言者本人が全文を自書する。パソコン作成は認められません。

② 遺言者本人が日付を自書する。

③ 遺言者本人が氏名を自書する。

④ 押印する。

 また、相続開始後(遺言者が亡くなった後)、家庭裁判所に申し立てて、検認という手続を経なければなりません。そして、封印のある遺言は、検認手続において、相続人または代理人の立ち合いがなければ、開封することができません(民法1004条)。

 検認とは、相続人に、遺言があることを通知し、家庭裁判所において、その自筆証書遺言の確認をし、後日、変造・偽造がされないように、遺言書の形式、態様等を調査する手続ですが、遺言の内容に関する有効・無効の判断、記述内容の解釈を確定する手続ではありません。
 また、検認をしなければ、制裁が科される場合もあります(民法1005条)。

 このように、自筆証書遺言は、作成時の形式要件が細かく定められ、相続開始後は検認手続を経なければなりません。

 そのため、後に、形式要件が満たされていない、遺言者本人が作成していない、真意ではない、記載内容の意味が明確ではないとして、相続人間で争いになることも少なくありません。

 そうなっては、せっかく遺言を作成しても、元も子もありません。

 そこで、当事務所では、遺言を作成するにあたっては、原則として、公正証書遺言を利用しています。公正証書遺言なら、作成時に、形式要件を誤ることもありませんし、検認手続も不要だからです。

 また、記載内容に疑義が生じないようにするためにも、弁護士に相談・依頼いただき、明確な内容の公正証書遺言を作成していただくことが、適切だと思われます。

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投稿者: シリウス法律事務所事務所

2013.04.16更新

<相談内容>
 先日、私の父Aが亡くなりました。父は、公正証書遺言を作成しており、この度、その遺言の内容を確認したところ、「相続財産である土地建物を長男Bに相続させる」旨の記載がありました。

 しかし、長男は、父が亡くなる2年前に亡くなっています。

 相続人は、二男である私C、母D、先に亡くなった長男の長女(代襲相続人)Eの3人なのですが、この場合、遺言の「相続財産である土地建物を長男Bに相続させる」旨の記載は、どういう効果を持つのでしょうか。


<解決>
 相続人となるべき人(推定相続人)が、遺言を作成した人より先に亡くなった場合、先に亡くなった人の代襲相続人に当該遺産を代襲相続させる旨の記載がない限り、原則として遺言の当該部分は効力を失います。

 したがって、このケースでは、遺言の「相続財産である土地建物を長男Bに相続させる」旨の記載があるものの、長男Bが先に亡くなっていますので、この記載は効力を失い、長男の長女(代襲相続人)Eは、当該土地建物全部を単独相続できないのが原則です。

 しかし、例外的に、当該遺言書の他の記載との関連、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから、遺言者が、先に亡くなった方の代わりに、代襲相続人その他の者に当該遺産を相続させる意思を有していたとみるべき特段の事情がある場合は、代襲相続が認められます。

 よって、このケースでも、遺言者である父Aが、先に亡くなった長男Bに代わって長女E(代襲相続人)に、当該土地建物を単独相続させる意思を有していたとみるべき特段の事情(長女Eが父A、母Dと同居し、面倒を見ていた、他の遺産は、母Dと二男Cが相続することになっていたなど)があるときは、長女Eは、遺言の効力として当該土地建物を単独相続することができます。

 もっとも、特段の事情の有無は微妙な判断となりますので、遺言書を作成後、推定相続人が先に亡くなられた場合は、改めて遺言を作成することをお勧めします。

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投稿者: シリウス法律事務所事務所

2013.02.24更新

<相談内容>
 この度、母が亡くなり(父は先に他界しています。)、長女である私と長男が、母の遺産を相続することになりました。

 母には不動産や金融資産がありましたが、その他に、長男が、母を被保険者とする生命保険の保険金受取人になっており、相当の保険金を受け取ることになりました。

 母は遺言を作成していなかったのですが、長女である私と長男で行う遺産分割協議において、長男が保険金を受け取ったことを法的に考慮することはできないのでしょうか。

<解決>
 被相続人を被保険者とし、相続人の1人を受取人とする生命保険金は、遺産に含まれません

 したがって、相続人の1人が生命保険金を受け取ったことは、遺産分割協議において、法的に考慮されないのが原則です。

 しかしながら、この原則を貫くと、相続人間で実質的に不公平が生じることがあります。ご相談の事例でも、例えば、保険金が3000万円、遺産総額が2000万円であれば、長男は保険金3000万円と遺産の2分の1相当である1000万円の合計4000万円相当を手にするのに対し、長女は遺産の2分の1相当である1000万円相当しか手にすることができません。

 この点に関し、近時、最高裁判所が、不公平の是正の余地を認めた、次のような決定を下しました。

 「(中略)保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となると解するのが相当である。上記特段の事情の有無については、保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率のほか、同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人との関係、被相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して判断すべきである。」

 したがって、ご相談のケースでも、長男が受け取る保険金の額、それが遺産全体に占める割合、長男と母が同居であったか、長男が介護をしていたか、長女の介護への貢献等を総合的に判断して、当該保険金が特別受益に準ずるものとして、遺産分割協議で、法的に考慮される余地はあるといえます。

投稿者: シリウス法律事務所事務所

2013.02.21更新

<相談内容>
 今般、私の父が亡くなり、相続人である兄及び母と遺産分割協議をすることになりました。
 

 父は不動産(収益物件)を所有していたのですが、父が亡くなって半年たった今でも、賃料収入を、母と兄が独占しています。

 遺産分割協議が長引けば、それだけ賃料収入を母と兄が独占することになり、私には1円も入ってきませんので、不公平と思います。

 このような場合、私はどうすることもできないのでしょうか。

 なお、遺言はありません。

<解決>
 相続開始後に、遺産である不動産から生じた賃料債権のことを、法律用語で果実(かじつ)といいます。
 

 そして、このような果実は、遺産として遺産分割協議の対象とはならず、法定相続分に従って、各相続人が分割債権として確定的に取得するというのが、最高裁判所の考えです。
 

 例えば、本件で、相続開始後、毎月500,000円の賃料債権が発生するとした場合、母(法定相続分2分の1)が250,000円、兄と弟である相談者(法定相続分各4分の1)が、125,000円ずつ取得することになります。

 そうすると、相談者から見れば、毎月の自分の取得分として125,000円があるのに、その分まで母と兄が独占していることになり、これを返してもらいたいと思うのも当然です。
 

 しかし、上記の最高裁判所の考えからは、相談者は、この点に関しては、遺産分割調停ではなく、民事訴訟を提起して、不当利得して、母及び兄に返還を求めざるを得ないのが原則です。

 もっとも、遺産分割協議が進んでいる中、このような相談者が、別途民事訴訟を提起しなければならないというのは、いかにも迂遠ですので、母及び兄が同意するなら、遺産分割協議の中で、相続開始後に生じた賃料債権についても、協議して決めることは可能です。

 ただ、遺産分割協議が進んでいる最中に、母や兄が、独占した賃料を使い果たし、協議がまとまった時には、その清算が困難になるよう場合は、審判前の保全処分として、家庭裁判所に、遺産管理者の選任を申し立て、選任された遺産管理者に収益物件の賃料管理を委ねるのが安心です。

投稿者: シリウス法律事務所事務所

2013.02.20更新

<相談内容>
 私は、父の遺産相続に関し、妹及び弟を相手に、家庭裁判所で遺産分割調停手続を進めています。
 父の遺産には、土地もあり、この土地をどうするかについて、私たち3人の考え方がまとまらず、調停開始から1年を過ぎています。
 このまま、話がまとまらなかったら、遺産分割調停はどうなるのでしょうか。
 なお、母は父より先に他界しており、父の相続人は私たち3人だけです。

<解決>
 遺産分割調停がまとまらなければ、調停は不成立となり、審判に移行します。
 審判とは、審判官(裁判官)が、当該遺産を、このように分けるべしと命ずる手続です。

 審判により土地を分ける場合、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割の4種類の方法があります。

 現物分割は、文字通り、一筆の土地を分筆して、分筆された土地を相続人で分ける方法です。
 土地は様々な形状ですから、分筆後の土地が、経済的にも物理的にも等しい価値であるとは限りません。
 また、もともと、一筆の土地として価値があったものを分筆するわけですから、小分けされた土地の価値をあわせても、もの一筆の土地の価値に及ばないことも多々あります。
 ですので、そう簡単には、現物分割はできません。

 代償分割は、例えば、相続人の1人が土地全部を相続する代わりに、土地を相続した相続人が他の相続人にお金を払って、取りすぎた分を清算する方法です。
 土地全部を相続した相続人に、代償金を支払う資力があり、他の相続人が土地自体を相続することにこだわりがなければ、代償分割は適しているといえます。
 逆に、代償金を準備できなければ、この方法をとることも困難となります。

 換価分割は、遺産である土地をお金に換える、すなわち、競売によって土地を売却し、その売却益を相続人でわける方法です。
 相続人全員が、土地に対するこだわりをもっていなければ、この方法によることもできますが、競売では、通常の不動産取引(任任意売却)と異なり、売却価格(落札価格)が低額になってしまう傾向がある点に注意しておく必要があります。
 要は、相続人全員が、土地にこだわりがなければ、全員で土地を、通常の不動産取引で売却した方が、お得であることが多いため、わざわざ審判にするまでもなく、調停で合意しておくべきということになるのです。

 共有分割は、土地を相続人の共有とする方法です。
 あくまで、共有のままですので、実質的には何の解決にもなりません。

 以上のように見ると、調停が不成立になった後、手続きとしては審判に移行するものの、そこで決められる分割方法は、必ずしも相続人全員にとって有利なものではなく、経済的には損をすることさえあります。

 遺産分割協議においては、感情の対立が生じることもありますが、相続人それぞれが譲歩しなければ、最後には、審判になってしまい、それぞれが損をすることもありますので、その点も加味して、妥協点を探っていくことも重要です。

投稿者: シリウス法律事務所事務所

2013.02.18更新

<相談内容>
 この度、私の父が亡くなり(母は先に他界しています。)、長男である私が喪主を務め、父の葬儀を執り行いました。したがって、葬儀費用150万円を、一旦、私が立て替えて支払いました。香典は辞退しています。

 
 これから、私は、妹及び弟と、父の遺産に関する分割協議をするのですが、この遺産分割協議において、葬儀費用を考慮してもらうことができるでしょうか。
 なお、遺言書はありません。

<解決>
 葬儀費用については、被相続人が亡くなってから発生したものであるため、相続債務とはなりません。

 ですから、被相続人の生前に発生した債務と異なり、当然に、遺産分割協議の対象となるものではありません。

 ただ、相続人全員で合意し、遺産分割の対象として考慮することにしたのなら、そのように処理することに何ら問題はありません。

 したがって、喪主として葬儀費用を立て替えて支払う立場になるのなら、後に、他の相続人の理解を得られるように、葬儀の規模、方法等について、他の相続人に相談して意見を取り入れたり、請求明細を残しておくなどしておくことが賢明です。

 仮に、その体裁、出席者からして、被相続人の葬儀というより、喪主のための葬儀ということになれば、他の相続人の理解を得られず、立て替えて支払った葬儀費用を、遺産分割協議の対象とすることは困難となるでしょう。

 ご相談者の場合、葬儀費用は150万円であり、著しく高額とまではいえないと思われます。

 したがって、経緯や請求明細等も考慮した結果、相談者のお父上にとって、分相応なものであれば、他の相続人に遺産分割協議の対象とすることの理解を求め、その点を含めて、遺産分割協議の成立を目指すべきです。

 また、仮に、遺産分割協議が不成立となり、遺産分割審判によらなければならないことになっても、少なくとも、葬儀費用もその対象とすることの合意を得ておくべきです。

 そのような合意がなければ、遺産分割審判では、葬儀費用は、審判の対象となりませんので注意が必要です。

投稿者: シリウス法律事務所事務所

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